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日々あったことの生活記録。ただし虚実混在。


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ロリータ

ロリータ  “LOLITA”

ウラジミール・ナボコフ
Vladimir Nabokov
邦訳・若島 正

新潮社 2006-10
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ロリータ、わが生命(いのち)のともしび、わが肉のほむら。わが罪、わが魂。ロー、リー、タ。
舌の先が口蓋を三歩すすんで、三歩目に軽く歯にあたる。ロ。リー。タ。
------(大久保康雄・訳。新潮文庫、14頁)
上のamazonでは表紙がかわいらしいので、新訳版を紹介しているが、私が読んだのは旧訳版のほうで、訳は大久保康雄というかたが担当している。

ロリータという名はあまりにも有名で、
その元になった小説の存在は知っていたが読む気はなかった。

しかし興味本位で手にしたこの本の、冒頭のこの数行が、
私のなかで爆発して、結局、私はこの本を購入することになっていた。



私はあの時、一つの変態性が、ここまで美しい文章に昇華されていることに感動したのだ。

この文章のなかに、私はたぶん、自分のなかの芸術性と変態性が強烈に共鳴しあうのを感じたのだと思う。

変態は、ある意味で、愛が強すぎるのだ。
そして愛を、他人と共有せずに、純粋に自分のなかだけで純化してしまう(ことができる)。

この文章から伝わるだろうか。
彼は、主人公ハンバートは、ロリータという名を口にするとき、舌がどのように動くのかを知っている。
それは実際、実物のロリータを何度も呼んだから、覚えているのではない。
一人のときに、ロリータの名さえもしゃぶりつくすために、
そっとひとりで、一つ一つの音節を味わい尽くして何度も何度も呟いたからにほかならない。

この孤独さ、この盲愛さ、そして偏執性。
決して共有を最終目的としない、自分一人だけのための快楽。
愛の対象となっている少女が、何を考えているのかは、本当はどうでもいいのだ。
ただ彼女が自分のそばにいればいい。
彼女が自分を愛してくれないから、男は悲しむのではない。
彼女を、《彼の理想の少女》を愛でられないから男は悲しいのだ。


一見、《愛》でありながら、そこには共有はない。
彼はただ自分で味わうために奪うだけだ。
金銭的に、物理的には与えつづけ、少女を甘やかし続けるが、
それはもらうために、与え続けているだけで、
無償の愛などでは決してない。

彼はロリータを愛してなどいない。
それでも、彼は、自分の偏愛のために、奔走する。
つい勘違いしそうになるが、彼が満足させたいのは、どこまでも自分の欲求でしかない。

その自分に正直なさまは、みていて愛らしいほどだ。
いっそすがすがしいほどだ。



インテリでもあるため、自分の欲望に正直に、すこし恥じらいつつ、文章を駆使して、いかにも美しく、崇高に書き上げる。
(獄中記であり、思い出話なので、仕方がないのだろうが)

正直「おまえさん馬鹿だろ」と突っ込みたい箇所も数か所あるが、
彼の必死さ、真面目さ、純粋さ、臆病さが、
彼の変態性をいとおしく思わせてしまうのである。
そして、彼のロリータへの愛を、美しいと思わせてしまうのである。

それはロリータ本人にしてみれば、
(興味本位で誘った彼女も悪いが)まさに強姦であり、
性的虐待にほかならならず、彼女が主人公を嫌いぬくのも当然なのだが、

なぜか読んでいるほうは報われないハンバートが哀れに思ってしまうのである。


ナボコフは素晴らしい。
構成も、ストーリーも、なかなかのエンターテイメントである。
文学の傑作といわれているが、中身はなかなか笑えて、
スリルも味わえ、おそらくハンバート氏がインテリぶってセックスの内容を書かなかっただけなのだろうが、実際のエロチックな部分はほとんどなく(しかしそれでもポロリと酷いことを書くが)、安心して読めるのではないかと思う。

正直、ハンバートはいとしい変態紳士であり、
ロリータは、彼の目に見えていたロリータはキュートで馬鹿で、もうしぶんなく小悪魔な女の子だったのだろう。

変態をめざすなら、是非お手本にしたい人物であるが、
人間的にはおすすめできない男、

それがハンバートだ。
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doris304
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夢想散歩
趣味:
珈琲豆を挽く事。
自己紹介:
駅までの路上で、
白昼夢に気づく。
珈琲を飲みながら、
現実から目覚める。
夢を見ながら
夢の外側を直視する。

虚実混在する日常生活をつづっています。もしかしたら世界のどこかで普通に営まれている日常生活が白昼夢のように混じります。
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